法人化の準備をしています
「自立したエンジニアのための会社組織を作る」
当初、私は「合同会社」を目指していました。それは、「合同会社」が「人的資産を基盤に置く会社」と言われていた事に起因します。旧来型の株式会社は、資産家がアイデアや技術を持った人を雇う形態でした。この形態の会社では、個々のエンンジニアの労は全体に分散され、その利益は全体に比例して配分されます。また、物的資産と(アイデア・技術などの)無形資産との間になんらかの交換性が無い以上、エンジニアは自らの価値を会社に出資する事ができません。
もし、自らの価値(アイデア、技術、経験)を会社に出資する事ができるとしたら、その人は、物的資産を出資している人達と同等の利益を得ることができるはずです。しかし、無論、投資に失敗したとしたら、その責を負わねばなりません。でも、これは当然の事であり、自立したエンジニアの目指すべき道でもあります。「合同会社」の事を知った時、私は、「これだ!」と直感しました。しかし、これは「浅はか」でした。実際、不勉強だったのです。会社法(平成17年法律第86号)を勉強していく過程で、非公開株式会社を利用すれば、「合同会社」に近い形態をとる事ができる事が分かったのです。
上の理念を達成するポイントは「所有と経営の一致」です。当然の事ながら、「合同会社」自体はこの要求を満たしています。しかし、株式会社でも同じ事が可能です。日本の「合同会社」は、「所有と経営の一致」を会社法をもってする便法にすぎません。設立費が安くなる以外に「合同会社」を利用する意義を私は見い出せませんでした。
但し、合同会社では、(定款に記載すれば)利益配分が自由に決定できるのに対し、株式会社の利益配分は、あくまで、出資比率がベースになります。しかし、私達は、資産家や経営コンサルタント、もしくは、なまけもの達と組んで会社を経営するのではありません。理念を共有したエンジニアが作る会社なのです。出資比率は、合議によって決すれば良いのです。
え!財務や経理はだれがするのかって?当然、エンジニアです。会計や簿記はエンジニアの必須アイテムです。営業や労務もエンジニアが仕切ります。無論、税務や会計などの専門家の支援は乞う事にはなりますが、決定するのは、全てエンジニアの仕事です。会社業務の全てを仕切れないと、エンジニアだけの会社はできないのです。
結論は出ました。
「思い通りの図案を描くには、白紙が一番良い」
これは、自明の理です。「合同会社」という便法に囚われる事なく、自由に機関設計ができるようになった「新会社法」を最大限に利用して、「株式会社」というキャンパスに思い通りの図案を描けば良かったのです。悩んでいたこの2年間。いったい、なんだったのでしょうか?
私の思いを「定款」という形にまとめました。会社設立の為の手続きは、専門家に依頼する予定です。私の仕事は、設立の理念と方針を見出し、それにも基づく「定款」を作成する事で終わったのです。
( ・・・と言うか、始まったのです )